「車両重量1.9トンのラグジュアリークーペが、なぜポルシェやBMWを驚かせる俊敏な回頭性を見せるのか?」「GA-L骨格と四輪操舵システムLDHは、ワインディングと高速巡航でどのような走りをもたらすのか?」――新世代レクサスの走りの基準『Lexus Driving Signature』の原点となったLC。CFRP(炭素繊維複合材)やアルミを多用した軽量・高剛性ボディ、650段階電子制御サスAVS、そして四輪の切れ角を統合制御するLDHの工学的真髄を徹底解剖します。
30秒でわかる新型レクサスLCのシャシー&運動性能メカニズム
| 機構・テクノロジー | 技術的特徴 | 走りと操縦性の体感効果 |
|---|---|---|
| GA-L超低重心骨格 | ドア外板アルミ・インナーCFRP・カーボンルーフ(S) | 慣性モーメントを低減し、ドライバーの腰を中心としたシャープな回頭性 |
| 四輪操舵システム「LDH」 | VGRS(可変ステア)+DRS(アクティブリヤステア)統合 | 低速での軽快なターンインと高速域での吸い付くような超安定性 |
| リニアソレノイドAVS | 減衰力を650段階でリアルタイムに独立制御 | 路面の微小な段差をしなやかに吸収しながらロールを徹底抑制 |
| トルセンLSD(S標準) | トルク感応型ディファレンシャルギア | コーナー立ち上がりで内輪の空転を防ぎ力強いトラクションを確保 |
| ヤマハ製パフォーマンスダンパー | ボディ前後に車体減衰ダンパーを配置 | 微小な車体変形を熱エネルギーに変換し、すっきりとしたステアフィールを実現 |

1. 新世代FR骨格「GA-L」が達成した低重心と重量配分の理想形
LCの開発にあたり、チーフエンジニア佐藤恒治氏(現トヨタ自動車社長)が掲げた命題は「世界一美しいクーペに、世界最高の一体感を与えること」でした。
(1)フロントミッドシップ配置と低ヒップポイント
V8エンジンを前車軸の後方に配置し、ドライバーの着座位置(ヒップポイント)を車両の重心位置に極限まで近づけました。車体がロールやピッチングを起こした際もドライバーの身体が揺すられず、車と身体が一体化したようなダイレクトな対話感を味わえます。
(2)マルチマテリアルボディ(CFRP・アルミ・高張力鋼板)の最適配置
ドアインナーやラゲージドアインナーにCFRPを採用し、ドア外板やフロントフェンダーにアルミを使用。重心から遠い部分を徹底的に軽量化することで、2トン近い車重を感じさせない軽やかな初期応答性を獲得しています。

2. 魔法のフットワーク!レクサス・ダイナミック・ハンドリング(LDH)
「S package」等に標準装備される四輪統合制御システムLDHのメカニズムを検証します。
(1)可変ステアリングギヤ比(VGRS)とダイナミックリアステアリング(DRS)
低速域では前輪のギヤ比をクイックにしながら後輪を最大約2度逆位相に操舵。ステアリングをわずかに切るだけで車体が吸い込まれるようにコーナーへ進入します。一方、時速80km/h以上の高速域では後輪が同位相に操舵され、平行移動のような揺れのないレーンチェンジを可能にします。
(2)度重なる年次改良による「バネ下重量軽量化」と乗り心地の熟成
2020年の改良ではアルミ製ロアアームの採用やスタビライザー中空化によりバネ下重量を約3.7kg軽量化。さらに2023年の改良ではハブボルト締結への変更とサスペンションブッシュの剛性最適化を実施し、路面のザラつきを消し去る極上のしなやかさを達成しました。

3. コンバーチブルの卓越したボディ剛性とオープンエアの静粛性
屋根を切り取ったコンバーチブルでありながら、クーペと同等の高い剛性を確保したエンジニアリングです。
(1)ブレース追加とアルミダイキャストリアタワーバーによる補強
床下にブレースを多数配置し、リアサスペンションタワー間に軽量高剛性なアルミダイキャスト製タワーバーを新設。オープンカー特有の車体のねじれ感(スカットルシェイク)を完全に排除しています。
(2)アクティブノイズコントロール(ANC)と静粛性の追求
ルーフを閉じた状態では、4層構造のソフトトップとアクティブノイズコントロールによりクーペに匹敵する静寂を実現。ルーフを開ければ、風の巻き込みを抑えながら澄み渡るV8サウンドを全身で浴びる至福のオープンドライブが広がります。
新型レクサスLCの走り・足回りに関するよくある質問(FAQ)
Q1. S packageとL packageではどちらの乗り心地が柔らかいですか?
「L package」の方が柔らかくコンフォートなセッティングです。S packageはスポーツサスペンションとLDHを備えており、引き締まったシャープなハンドリングを重視しています。
Q2. 雨の日や濡れた路面でFRのハイパワー(477PS)が暴れる心配は?
VDIM(統合車両運動制御)が4輪のブレーキ・スロットル・ステアリングをミリ秒単位で協調制御するため、濡れた路面で急加速してもテールが唐突に流れることなく安定して加速します。
Q3. サーキット走行を楽しむことはできますか?
大径ブレーキと高性能クーリングシステムを備えているため、スポーツ走行を存分に楽しめます。ただし本質はGTカーのため、サーキットタイムを競うよりツーリングでの快感を追求した調律です。
Q4. ハブボルト締結になった後期型は走りの違いを体感できますか?
ホイール締結剛性が上がったことで、ステアリングを切り始めた瞬間のタイヤの接地感と手応えのダイレクト感が明確に向上しています。
Q5. 長距離の高速巡航で疲労感はどれくらい少ないですか?
低重心で横風にビクともしない直進安定性と、身体を面で支えるエルゴノミックシートにより、東京〜京都間の500kmを休憩なしで走破しても腰痛や疲労をほとんど感じさせません。
